研究課題/領域番号 |
18390179
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
川西 正祐 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 教授 (10025637)
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研究分担者 |
村田 真理子 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10171141)
及川 伸二 三重大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10277006)
平工 雄介 三重大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (30324510)
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キーワード | 感染 / 炎症 / 発がん / DNA損傷 / 8-ニトログアニン / 活性窒素種 / リスク評価 / バイオマーカー |
研究概要 |
感染症および慢性炎症は極めて重要な発がん因子であり、感染・炎症関連発がんのリスクを早期に評価する方法の確立が急務である。炎症条件下では炎症細胞や上皮細胞から活性酸素・窒素種が生成され、8-oxodGや8-ニトログアニンなどの変異誘発性DNA損傷塩基を生成して発がんをもたらすと考えられる。我々は免疫組織学的手法を用いて、種々の臨床検体や動物モデルにおいて8-ニトログアニンが発がん過程においてがん好発部位で生成されることを世界に先駆けて明らかにしてきた。本年度は、ヒトパピローマウイルス感染による子宮頸部異形成の生検標本において、8-ニトログアニン生成が異形成の程度に従い有意に増加することを明らかにした(Cancer Sci.2007)。またC型肝炎ウイルス感染患者では肝細胞がんで8-oxodGが有意に上昇した(Br J Cancer,2008)。中国との共同研究では、EBウイルス感染患者では8-ニトログアニン生成が咽頭炎から上咽頭癌に至る過程で有意に強くなった(Int.J.Cancer 2008)。軟部肉腫患者の腫瘍組織では明瞭な8-ニトログアニン生成を認め、その生成が強い群では生存期間が有意に短縮することを明らかにした(Cancer Sci.2007,Oncol.Rep.2007)。以上の結果から、8-ニトログアニンは病変部位に特異的に生成され、その強さは前癌状態からがんの発生・進展に至る過程を反映するという極めて意義深い知見を得た。したがって、8-ニトログアニンは感染・炎症関連がんの発生・進展のリスクおよび患者の予後を評価できる有用な新規バイオマーカーとして応用出来る可能性が期待できる。また感染以外の物理化学的要因による炎症においても、アスベストを気管内投与したマウスで8-ニトログアニンの生成を確認しており、今後さらに研究を進める予定である。
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