血管内皮細胞由来の一酸化窒素合成酵素(NOS)はL-arginineを基質とし、一酸化窒素(NO)を生成する。NOは、様々な機能が発見され、血管の機能維持に重要な役割をはたしており、抗動脈硬化的に働いていると考えられている。 NOS遺伝子プロモーター領域にあるT^(-786)C遺伝子多型(転写開始点より786 塩基上流にあるチミンのシトシンへの置換)は、心筋梗塞、冠動脈攣縮との関連があると報告されており、動脈硬化症との関連性が国内・外の研究により強く示唆されている。 しかし、NOS遺伝子多型(T^(-786)C遺伝子多型)の動脈硬化症発症への関与が指摘されながら、実施されてきた研究は、症例対照研究によるものがほとんどであり、動脈硬化症予防に関する介入研究は見られない。そこで、動脈硬化症予防に関するNOS遺伝子多型を考慮した職域集団における介入研究を実施し、より有効な動脈硬化予防プログラムを開発することを本研究の目的としている。
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