研究分担者 |
松口 徹也 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10303629)
堀内 正久 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (50264403)
青山 公治 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (70117472)
小松 正治 鹿児島大学, 水産学部, 助教 (30325815)
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研究概要 |
運動群は、プラスチック底でおが屑を敷き詰めたケージに回転車を設置し、ストレスのかからない状況で24週間飼育した。非運動群は回転車のない同じケージで24週間飼育した。運動群マウスの走行距離は1日平均5.6kmであった。運動群マウスは非運動群マウスに比べ、摂食量が有意に増加していたが、体重には有意差がなかった。運動群マウスの内臓脂肪量は有意に減少していた。両群マウスを24週間飼育後屠殺し、肺並びにその他の臓器を摘出し液体窒素で凍結後-80℃で保存した。Trizolを用いて肺からRNAを採取し、oligo-dTを用いてcDNAを合成し、自然免疫、酸化ストレス、構造タンパク、サーファクタント、発がんに関連する31遺伝子の発現をReal Time PCRで解析した。また、習慣的自発運動による遺伝子発現の変化を網羅的に検討するために、DNA array解析も行った。その結果、習慣的自発運動は、病原体認識関連遺伝子群(Tlr)の発現については影響を与えず、殺菌成分産生タンパク遺伝子(Cyba, Ncf1, Nos3)の発現は低下、抗酸化関連遺伝子群については、Sod1, Sod2, Gpx1の発現を低下、Sod3の発現は上昇させた。運動は構造タンパク(Actnb, Eln)の発現を増加させ、サーファクタント関連遺伝子の発現は低下させ、p21, p53の発現も低下させた。本研究により、習慣的自発運動を負荷するマウス実験系を確立することができた。そして、習慣的自発運動が肺の多くの遺伝子の発現に影響を与えることが明らかとなり、習慣的自発運動が分子レベルで肺炎予防、肺機能に影響を与えうることが強く示唆された。 肺炎予防の観点から高齢者肺炎の病原体、緑膿菌の薬剤耐性獲得機構の検討も行った。
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