研究課題/領域番号 |
18390184
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
相澤 好治 北里大学, 医学部, 教授 (10124926)
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研究分担者 |
角田 正史 北里大学, 医学部, 准教授 (00271221)
工藤 雄一朗 北里大学, 医学部, 講師 (60348505)
三木 猛生 北里大学, 医学部, 助教 (00327397)
山内 博 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (90081661)
小谷 誠 東京電機大学, 工学部, 教授 (60057205)
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キーワード | 石綿代替繊維 / ロックウール / 鼻部吸入曝露 / 半減期 / 肺内滞留性 |
研究概要 |
≪はじめに≫ロックウール(以下RW)は、石綿代替繊維の一種であり、耐熱性や耐久性等に優れているため幅広く使用されている。これまでの研究でラットに対するRWの鼻部吸入曝露を行い、その後28日までの肺内滞留性を検討した。しかし、石綿による肺がんや中皮腫は潜伏期間が長いのが特徴である。そこで本研究では、ラットに対して鼻部吸入曝露を行った後、180日後までの長期間にわたって観察しRWの肺内滞留性を検討した。 ≪方法≫試料はNC社製RWを使用した。鼻部吸入曝露実験装置を用いてオスFischer344ラット24匹に対し、1日6時間を5日間連続曝露させた。曝露濃度は長径(L)>20μmが93.08fiber/m^3であった。曝露終了後1、90、180日後にラットを屠殺し肺を摘出し、灰化・ろ過捕集などの処理後、電子顕微鏡写真にて、肺内繊維サイズ(長径・短径)の計測と肺内滞留繊維数の計数を行った。一元配置分散分析を行い、Scheffe法による多重比較により平均値の検定を行った。さらに肺内滞留繊維数の1日後群の幾何平均値を100%とした時の指数近似曲線からRWの半減期を求めた。 ≪結果・考察≫肺内繊維サイズは長径・短径共に1日後から90、180日後にかけて有意に減少した(p<0.01)。肺内滞留繊維数は1日後から90、180日後にかけて有意に減少した(p<0.01)。この理由として体液による溶解、気管・気管支の粘液線毛運動による体外への排出、肺胞マクロファージの貪食作用後、気管・気管支の粘液線毛運動による排泄や肺間質からリンパ管への輸送が考えられる。半減期はL>20μmで55日、WHO繊維で74日であり、石綿の半減期と比較して短かった。 ≪結論≫今回使用したRWの肺内滞留性は石綿に比べて低く、肺傷害性は少ないことが示唆された。今後はさらに長い観察期間で肺内滞留性の検討を行うこと、病理学的変化の観察を行うことが必要である。
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