研究課題/領域番号 |
18390184
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
相澤 好治 北里大学, 医学部, 教授 (10124926)
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研究分担者 |
角田 正史 北里大学, 医学部, 准教授 (00271221)
工藤 雄一朗 北里大学, 医学部, 講師 (60348505)
三木 猛生 北里大学, 医学部, 非常勤講師 (00327397)
小谷 誠 北里大学, 医学部, 客員教授 (60057205)
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キーワード | 石綿代替繊維 / 気管内投与 / サイトカイン / 病理学的影響評価 |
研究概要 |
【目的】セラミックファイバーとはアルミナ、シリケート、アルミナ・シリケート、ジルコニアなどからなる繊維の総称である。セラミックファイバーは加熱温度が上昇すると非晶質のムライト、結晶質のクリストバライト(結晶性シリカ)が生じる。また、加熱温度が上昇するにつれて結晶質シリカの割合が増加する。そこで本研究では加熱したセラミックファイバーの生体影響を評価するため1200℃および1500℃に加熱したセラミックファイバー、その生成物であるムライトをラットに対し気管内投与した。その後、気管支肺胞洗浄を行い、洗浄液を回収しマクロファージから産生されるサイトカイン(TNF-α、TGF-β)を測定し、細胞の種類について割合を算出した。さらに肺の病理学的影響を評価した。【方法】オスWistarラット7週令に対し、試料0.5mgを0.3mlの生理的食塩水に混ぜ、1日1回4日連続投与した。陰性対照として生理的食塩水0.3mlを同様に投与(1群3~5匹)した。また、肺を摘出し、病理学的影響を評価した。【結果・考察】TNF-α、TGF-βはコントロール群(生理的食塩水投与)およびムライト投与群に、差はなかった。気管支肺胞洗浄液中の細胞の種類では1200℃、1500℃加熱処理群、ムライト投与群で1日後、3日後にわずかに好中球が増加したものの有意な増加ではなく、炎症は生じていなかった。病理学的影響評価では1200℃および1500℃加熱処理群、ムライト投与群で1日後、3日後に肺胞壁の肥厚、肺胞内にマクロファージがみられたが、これは繊維を処理する際の肺の防御反応であり、肺に異常はみられなかった。この理由として肺胞マクロファージによる貧食と肺内で繊維の溶解が生じたためと考えられる。【結論】以上から1200℃、1500℃、ムライトともに28日間という短期間の観察において肺影響はなかった。
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