線維増殖性および発がん性が認められる石綿に替わる人造繊維状物質のうち、産業界で汎用性の高いロックウール、シリコンカーバイト、セラミック繊維を調査対象物質とした。評価手法は肺磁界測定法、DNA損傷評価、実験動物による発がん性試験の組合せによる安全衛生評価体系の開発と実証である。 I.石綿および人造繊維状物質をラット気管内注入し、(1) 肺磁界測定法での肺障害性評価、肺内滞留性評価、(2) 組織、白血球、尿中8-OHdGと8-NGの免疫組織化学的および機器分析による定量的なDNA損傷の測定、(3) サイトカイン検査などを行い、調査対象物質の毒性に関して総合的に評価する。 II.上記した人造繊維状物質曝露動物について、肺、胸膜・腹膜からの悪性腫瘍の発生を経時的に病理組織診断を行い、発がん性の有無について信頼性の高い結論を作成する。また、胸水中のヒアルロン酸、血液中の腫瘍マーカー(CEAなど)を測定し、中皮腫の早期診断のためのスクリーニング法を確立する。 4年間に得られた成果について総合的に評価を行い報告書、国際学術誌、ホームページに公表する。
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