研究課題/領域番号 |
18390185
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
大前 和幸 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60118924)
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研究分担者 |
佐野 有理 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20338023)
衛藤 憲人 東海大学, 開発工学部, 講師 (60365228)
吉岡 範幸 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70365229)
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キーワード | 環境保健 / 複合曝露 |
研究概要 |
ヒト末梢血分離リンパ球とリンパ芽球由来株化細胞であるTK6を使用し、クロム、コバルト、砒素さらにカドミウムを組み合わせて実験を行った。まず始めに、Cr、Co、As、Cdの各々について複数の濃度で細胞培養液中に添加し、細胞のviabilityについての情報を得た。具体的には、培養細胞を重金属の存在下で一時間培養、曝露終了数時間後のviabilityをWST-1を用いて検討した。さらに、等効比で複合曝露させ、同様にWST-1で検討した。次に、DNA損傷を高感度に検出できるコメットアッセイ(Single Cell Gel Electrophoresis)を行い、DNA損傷レベルを定量的に評価した。Cr、Co、As、Cd単独曝露で有意に指標が変化する濃度(最小毒性量:LOAEL)を知った後、最小毒性量の半分量を組み合わせた二成分の複合曝露を行った。さらにCo-Cr,As-Crの組み合わせでIsobolographic analysisを行った。単独曝露のコメットアッセイの結果から等効比で複合曝露させ、同様にコメットアッセイを行った。ED50と95%信頼区間を求めIsobologramを作成し、相乗効果を検定した。 これらの結果から、相加性の逸脱は確認できなかった。本研究はNOAEL付近の低濃度の重金属複合曝露による細胞の反応を評価するのが最大の特色である。本研究により、実際の曝露環境に近い濃度における重金属複合曝露影響のリスクアセスメントに有用なin vitroの実験結果を提供し、従来の「NOAEL付近での複合曝露の影響は最大で相加」という説に科学的証拠を付与することとなった。
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