研究課題/領域番号 |
18390187
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
川本 俊弘 産業医科大学, 医学部, 教授 (60177748)
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研究分担者 |
小山 倫浩 産業医科大学, 医学部, 准教授 (00309965)
一瀬 豊日 産業医科大学, 医学部, 准教授 (80341494)
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キーワード | アレルギー / 環境化学物質 / IgE / IgG / 蛋白付加体 / SDS-PAGE / プロテオミクス / 質量分析 |
研究概要 |
化学物質が感作性を有するメカニズムの一つとして、化学物質(ハプテン)が生体内蛋白等と結合して抗原性を獲得することが知られている。そこで環境化学物質とヒト血清アルブミン(HSA)を混合したものを診断用抗原として、患者血清から当該化学物質に対する特異的IgEおよびIgGの検出法を開発することを試みた。化学物質-HSA付加体はその反応(混合)条件により、抗原性が異なることがわかった。化学物質-HSA付加体を診断用抗原としたヒト(患者)の特異抗体検出では、ELISAはバックグラウンドが高く、ドットブロット法や、蛍光標識抗体の使用などの改良が必要であることも分かった。また、蛋白質は特有の蛍光を有するが、化学物質の結合により蛍光が変化する。感作性化学物質を反応させたHSAでは蛍光強度が低下し、その低下度から化学物質の感作性の強さを定量する方法を開発することに成功し、特許出願を行った(特願2008-120130)。HSAの結合部位をグルタルアルデヒド、トルエンモノイソシアネートを例にとり、MALDI-TOF/MSを用いて解析した。両化学物質ともにHSAとの結合部位は主にリジン、アルギニン残基であることが明らかになったが、結合するリジン、アルギニン残基の位置は両物質で異なることがわかった。 アセトアルデヒドをAldh2(アルデヒド脱水素酵素2)ノックアウトマウス(Aldh2-/-)およびその野生型マウス(Aldh2+/+)に吸入曝露し、鼻粘膜・肺・背部表皮のDNA付加体数を調べたところ、Aldh2-/-の方がAldh2+/+より多かった。この結果から、ALDH2不活性型の人(日本人の約半数)はALDH2活性型の人よりもアセトアルデヒドによる悪性腫瘍を発症し易い可能性があると考えられた。
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