研究課題
化学物質が感作性を有するメカニズムの一つとして、化学物質(ハプテン)が生体内蛋白等と結合して抗原性を獲得することが知られている。そこで環境化学物質とヒト血清アルブミン(HSA)を種々の反応(混合)条件により作製した診断用抗原を用いて、患者血清から当該化学物質に対する特異的IgEおよびIgGの検出法を開発することを試みた。ELISA法はバックグラウンドが高かったため、イムノドットブロットをライトキャプチャーにより検出する方法を試したところ、半定量化システムとしては非常に有効であった。そこで、某エポキシ樹脂製品使用者でアレルギー性皮膚炎を有する者10名と同製品を使用していても皮膚症状を有しない者9名を対象に上記の方法を検討した。同製品をHSAと反応させ、これを診断用抗原として上記19名の血清中の特異的抗体の有無を調べた。皮膚症状ありの群では8名が特異的IgG(+)、2名が特異的IgG(-)であり、無症状群では3名が特異的IgG(+)、6名が特異的IgG(-)であった。感度80%、特異度67%であり、化学物質アレルギーの診断、原因物質の同定に有用であると考えられた。特異的IgEはすべての血清中から検出されなかったが、特異的IgE量はIgGに比べてはるかに少ないことを考慮すると、感度が十分でなかったために検出できなかった可能性が高い。アルデヒド脱水素酵素2(Aldh2)ノックアウトマウスは野生型マウスに比べてアセトアルデヒド吸入曝露により上気道のDNA付加体が多く、障害も強かった。したがって、アルデヒド脱水素酵素2不活性型の人(日本人の約半数)は活性型の人よりも気中のアセトアルデヒドへの感受性が高いと考えられた。
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