研究概要 |
直径の異なるナノマテリアルを用い、それらがアレルギー性気管支喘息に及ぼす影響とメカニズムの解明を試みた。 実験プロトコールとしては、ICR系雄性マウスに下記の実験群を設定し、経気道曝露(ハロセン麻酔下にポリエチレンチューブを用いて気管内投与)を施行した。 1.vehicle曝露群(0.05%Tween80,0.25%DMSO加リン酸緩衝液(pH:7.4)を100μl/bodyで曝露) 2.ナノマテリアル単独曝露群(50μg/bodyを最大量とし、少量曝露群を設定) 3.卵白アルブミン単独曝露群(アレルゲンとしてovalbumin:OVA:1μg/bodyを曝露) 4.ナノマテリアル+卵白アルブミン併用曝露群 6週間に及び曝露を施行し、最終曝露の24時間後に、諸検討を加えた。 ナノマテリアル単独曝露では、気管支肺胞洗浄液中や気道周囲への炎症細胞の浸出は軽度であった。アレルゲンにより好酸球性炎症が惹起されたが、これはナノマテリアルの併存によって顕著に増悪された。免疫組織染色では、ナノマテリアルとアレルゲンの併存により、カルボニル及び酸化ストレスが肺において顕著に亢進していた。さらに、肺組織中の炎症性サイトカイン、ケモカイン(IL-5,IL-4,eotaxin,IL-13,RANTES,IFN-gamma,IL-2,MCP-1,等)を検討したところ、好酸球性気道炎症の増悪効果とeotaxin、IL-5、IL-13等のTh2タイプのサイトカインの発現増強はよく相関していた。最小のナノマテリアルにおいて増悪効果は最も顕著であったが、粒径との逆相関は必ずしも見られなかった。
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