病院で測定する血圧に比較し、家庭血圧や24時間自由行動下血圧は、予後予測能に優れるが、日本高血圧学会のガイドラインのリスク層別化に家庭血圧を用いると、リスク層別化がより明瞭になることが明らかになった。大迫町一般地域住民において、果物や野菜摂取が多い群では家庭血圧に基づく高血圧有病率が有意に低く、高血圧発症リスクを低減する可能性が示唆された。横断的解析では、プロレニン受容体遺伝子多型が女性において血圧レベルのみならず、左室肥大やラクナ梗塞などの臓器障害と関連していた。家庭血圧を用いて大迫一般地域住民を平均12年間追跡した縦断的検討の結果、高血圧発症と関連する遺伝子多型が4つ同定され、年齢・BMIなどの交絡要因で補正してもなお、リスク多型を有する個数が増加するほど高血圧発症リスクが増大し、高血圧発症には遺伝・環境要因の双方が関連することが確認された。 妊婦の血圧は妊娠前期より妊娠中期にかけて低下し、妊娠後期にかけて上昇するが、季節要因に影響を受け、冬期出産予定妊婦では血圧上昇幅が夏期出産予定妊婦の4倍に達していた。季節要因を補正しても尚、妊娠前BMIや妊娠前期におけるインスリン抵抗性と血圧レベルが関連し、妊娠中期の血圧低下も減弱していた。季節・妊娠前BMI等の交絡要因の補正後も尚、妊婦の両親の高血圧歴は妊婦の妊娠期間中の血圧レベルと関連し、妊婦の母親の妊娠中の血圧レベルもまた妊婦の妊娠期間中の血圧レベルと関連していた。高血圧家族歴など遺伝要因を有すると考えられる妊婦においては注意深い経過観察が必要と考えられた。
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