研究概要 |
本研究では、地域住民および勤労者からなる大規模一般集団を対象に、睡眠呼吸障害(SDB)が高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病に及ぼす影響をコホート研究によって明らかにするために下記の研究を実施した。 【テーマA】SDBと高血圧・糖尿病に関する縦断研究 2001〜2005年にパルスオキシメトリ法を実施した4,398人を平均3.3年の追跡した結果、SDBの重症度に応じて、年齢や体格などを考慮しても糖尿病の発症が有意に多かった。高血圧の発症は年齢のみ考慮した場合は有意に多いが、さらに体格などを考慮すると関連は認められなくなった。 【テーマB】SDBと反応性蛋白(CRP)、心房細動、インスリン抵抗性(HOMA-R値)、メタボリックシンドロームのそれぞれとの関連に関する横断研究 パルスオキシメトリ法を実施した約4,500人についてSDBとCRP、心房細動、インスリン抵抗性およびメタボリックシンドロームとの関連を検討した。年齢や体格などを考慮しても、SDBの重症度に応じて、CRP値、HOMA-R値、心房細動およびメタボリックシンドロームの有病率は有意に高かった。 【テーマC】フローセンサ法を用いたSDB検出に関する横断研究 2006〜2008年にフローセンサ法とパルスオキシメトリ法を同時実施した516人について、血中酸素飽和度低下指数(3%ODI)および呼吸障害指数(RDI)により定義した重症度と血圧値との関連を検討した。年齢、性別のみを考慮した場合、3%ODIおよびRDIのいずれにおいても、重症度に応じて血圧値が高い傾向があり、RDIによる重症度よりも3%ODIによる重症度の方がやや関連が強かった。しかしながら、さらに肥満を考慮すると、いずれにおいても有意な関連は認めなかった。
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