研究概要 |
当研究課題は,全国47都道府県に在住の女性看護職を対象とした前向きコホート研究において,女性における生活習慣やヘルスケアの実態把握を行い,その健康への影響を2年ごとの経時観察調査で評価することを目的としている。平成13年に開始したベースライン調査は,平成19年をもって新規募集を終了し,計49,925人から回答を得た。また,追跡調査に参加する前向きコホート対象者は約16,000人となった。 今年度は,対象者の生活保健習慣の実態把握として,身体活動レベルからのエネルギー消費量の推定および各種検診の受診割合について分析を行った。一日あたりのエネルギー消費量は各身体活動強度での標準METs値と,その活動時間,および体重から推定した。その結果,各年代での中央値は,20歳代1,875kcal,30歳代1,869kcal,40歳代1,916kcal,50歳代1,897kcal,60歳以上1,842kcalと年代間で大きな差はなく,今まで報告されたわが国勤労女性の消費量と同程度であった。しかし,全消費量に対する勤務中の消費量の割合を検討したところ,20歳代32.5%,30歳代31.1%,40歳代30.0%,50歳代28.1%,60歳以上26.1%と,年齢が下がるにしたがい勤務中の消費量の割合が高く,相対的にスポーツや運動など勤務外での消費量が若い年代では少ないことが示された。 また,過去5年間の検診への参加は,胃癌検診40.2%,子宮体癌検診(内膜細胞診)31.5%,子宮頚癌検診49.9%,乳癌検診(マンモグラフィーや超音波検査)15.9%,医師による乳房触診3.4%であった。一般女性での乳癌検診受診割合18%(H13年国民生活基礎調査)などに比較しても,必ずしも高いものではなかった。今後,地域,HRT利用など特性による受診者割合の差異について,検討を進める予定である。
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