研究概要 |
本研究は, 健康の社会的決定要因に着目して高齢者の介護予防に向けた科学的な知見を明らかにするものである. 社会経済的な格差による「健康格差」が日本にも見られること, 生活習慣だけでなく心理的・社会的因子も不健康の危険因子であることを報告してきた. 具体的には, 高齢者約4万人の大規模データを活用し, コホート研究や国際比較研究などを通じて, (1)生活習慣のみならず, 「うつ」など心理的因子, 「閉じこもり」や「家族関係・社会ネットワーク」「所得」「教育歴」など社会経済的因子が「健康寿命の喪失(要介護状態+死亡)」の危険因子であることを明らかにすること, (2)その影響プロセスの解明に迫ること, (3)個人レベルの社会経済的因子だけでなく社会関係資本(ソーシャル・キャピタル : 地域における信頼感・互助性の規範, ネットワークの豊かさ)など, コミュニティレベルの因子も関連していることを検証することを目指すものである. 本研究は, 「健康な社会」や「ポピュレーション・ストラテジーに基づく介護予防政策」の開発を志向した社会疫学的な基礎研究である.
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