研究概要 |
骨粗鬆症による骨折のリスク評価法を確立するために、平成7-8年度に沖縄県M市、香川県S市、福島県N町のBaseline studyを受診した1,850人から死亡や転居を除く1515人を対象に、満10年の追跡調査を実施し、受診者1040人ついて以下の解析を行った。 1.胸腰椎のdigital画像による骨折の診断調査時現在50歳以上の720人につきHologic社QDR4500Aにて胸腰椎digital画像を撮影し、半自動morphometryによりbaseline以降に発生した椎体骨折を把握した。 2.骨密度の解析二重エネルギーX線吸収法による第2〜4腰椎正面、大腿骨近位部、橈尺骨遠位部の骨密度を解析し、10年間の追跡期間中の変化を把握した。 3.骨代謝マーカーの測定Baseline時から-80℃で冷凍保存されている血清と血漿を用いて、baseline時40歳以上で、少なくとも6年間の追跡ができていた882人についてコラーゲン架橋C末端とN末端テロペプチド、ホモシスティン、ペントシジンを測定した。 4.骨折リスク評価モデルの作成1で把握した新規椎体骨折のリスクを多重logistic回帰モデルを用いて評価すると、既存椎体骨折の有無、年齢、大腿骨近位部骨密度、閉経の有無、骨折既往・卵巣摘除・高血圧・高脂血症・骨粗鬆症の既往の有無を独立変数としたモデルでROC曲線下面積が0.804となり、新規骨折の実用に値する正確さで予測できつようになった。ただし、腰椎骨密度は高齢者では変形が多く、診断能はやや低下した。また、骨代謝マーカーはいずれも骨折の予測には寄与しなかった。
|