研究課題
基盤研究(B)
ヒト高変異ミニサテライトの生殖細胞の減数分裂時のゲノム動態は、現在も不明の点が多いが、ヒトでは実験不可能である。われわれは、メダカを実験動物として、ミニサテライトのゲノム不安定性の研究を行った。メダカゲノムデータベースを検索したところ、メダカの染色体8本には合計30504個の縦列繰り返し配列が検索され、ヒト染色体と比較して顕著な差は見られなかった。しかし、HistryRおよび%GCを指標として、高変異ミニサライトを予測したところ、その数はヒトに比べて著明に低かった。4つの染色体で選択したミニサテライトローカスは、174あり、そのうち、31ローカスで多型性を確認するため、ヒメダカおよびCabのDNAを用いて、PCRによって多型性の有無を確認した。4ローカスにで明らかに複数のアリルを有しており、塩基配列を決定した。次に、トランスミニサテライトメダカを作成した。ヒト高変異ローカスB6.7の短いアリルを受精卵に注入した。22個体が成魚(GO)となったが、そのうちB6.7を有するものは4個体であった。しかし、その子の世代(F1)数百個個体を検索したが、挿入は確認されなかった。そのため、アリルのフランキング領域を変更して、再度受精卵に注入した。25個体のGOが誕生し、そのうちの1個体でB6.7アリル陽性であった。GOにインジェクションを行っていない個体をかけ合わせてF1世代を得た。F1世代325個体のうち4個体でB6.7の保持が確認された。この陽性F1にさらにバッククロスすることによってF2世代を得た。F2のB6.7保持率は約45%に達した。F2成魚についてさらにバッククロスを行いF3を得た。両親の同じF3同士でホモ接合体候補を作成しており、現在、複数の個体が誕生している。ミニサテライトの不安定性について、F2世代のヘテロ接合体の卵におけるB6.7の変異の有無を検討した。検査した卵257個中112個がB6.7陽性であったが、その長さは元のアリルと同様であり、変異をもつアリルは観察されなかった。
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DNA多型 15
ページ: 27-30
DNA polymorphism 15
Molecular Forensics. John Wiley&Sons Ltd.