研究課題/領域番号 |
18390214
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小池 和彦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80240703)
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研究分担者 |
藤江 肇 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90332577)
四柳 宏 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30251234)
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キーワード | C型肝炎 / インスリン抵抗性 / 肝脂肪化 / トランスジェニックマウス / 代謝 / プロテアゾームアクチベーター |
研究概要 |
C型肝炎ウイルス(HCV)は肝臓を主なターゲットとするウイルスであるが、多臓器に病変を引き起こすことも次第に明らかになってきている。さらに、最近になり、HCV感染症の代謝性疾患としての病像が注目されてきている。まず、肝脂肪化(steatosis)と脂質代謝異常がHCV感染症の特徴として見いだされ、さらにHCV感染症と2型糖尿病、特にインスリン抵抗性との関連性が明確となってきた。我々は、C型慢性肝炎患者とマウスモデルを用いて、HCV感染症において肝脂肪化を初めとする脂質代謝異常が発生することを明らかにし、その機序を解明してきた。また、HCV感染症におけるインスリン抵抗性が、HCVそのものによって誘発されることを明らかにし、その発生機序に迫ってきた。HCV感染症が生活習慣病の原因となっている可能性を示すものであり、その機序が解明されれば国民の健康にとって大きな貢献を果たすと期待される。また、インスリン抵抗性は、C型慢性肝炎の肝線維化進行にも影響を与えることが示されている。我々は、HCVによってもたらされるインスリン抵抗性や脂質代謝異常が、C型慢性肝炎線維化の進行に与える影響とその機序を明らかにし、治療法の開発を図る。 インスリン抵抗性を発症するコア遺伝子トランスジェニックマウスをモデルとして、肝におけるインスリン・シグナル経路を詳細に検討した。特に、インスリン受容体基質(IRS)の下流のフォスファチジルイノシトール-3(PI-3)キナーゼから下流の活性化について評価を行なった。プロテアゾームアクチベーター(PA)28γがHCVコア蛋白と相互作用することを我々は既に報告してきたが、PA28γノックアウトマウスとHCVコア遺伝子トランスジェニックマウスを掛け合わせることで、コナ蛋白が生体内において肝脂肪化とインスリン抵抗性発生という病原性を発揮するためには、PA28γ分子の存在が必須であることが明らかとなった。すなわち、コア蛋白は核においてPA28γ分子と結合してユビキチン化されるが、それが病原性発現に重要である。その詳細について検討中である。
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