研究概要 |
1)タマリンでのGBV-B肝炎モデルでのsiRNAによる治療実験 siRNAに化学修飾することにより、インターフェロンを誘導しない修飾方法を見出したので、マウスにて実証の後、タマリンによるGBV-B肝炎モデルでのsiRNAによる治療実験を行った。1,3x10^8GEのGBV-Bの接種後、3回/週GBV-Bに対する20mg/kg化学合成siRNAをカチオニックベクターに包埋して下肢の静脈から投与したところ、治療群において投与6週後transaminasesの低下傾向を認めた。今後ウイルス抑制増殖効果について評価する。 2)AAV8 shRNA毒性とその対策 2006年6月にscAAV-8を用いたshRNAの全身投与にて、遅発性の致死的な重篤な肝障害があるとの重要な報告された(Grimm D, Nature 441;537-541,2006)。この肝障害は導入したsiRNAの発現量に依存し、複数の異なった標的遺伝子に対するshRNAにおいて生じており、複数のmicroRNA(miRNA)の低下を伴っていた。我々もマウスにおいて同様の肝障害を経験しているが、scAAVではなくて1x10^<12> ssAAV(尾静脈からの投与)を用いることにより、明らかなshRNA毒性を認めず、肝臓で有効な標的遺伝子の発現抑制に成功した。過剰なshRNAは細胞毒性を引き起こす可能性があるが,shRNAの発現を適切に調節すれば,副作用なく有効なRNAi効果が得られると考えられる。今後、このAAV8を用いてshRNAによるウイルス抑制増殖効果について評価したい。
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