研究課題
基盤研究(B)
NKG2D活性化レセプターのリガンドであるMHC class I-related chain A(MICA)はトンンスフォームした細胞の細胞膜上に発現誘導され、その一部が膜貫通領域の直上で切断され培養液中に放出されることが知られている。本研究では可溶型MICAの臨床的かつ免疫学的意義を明らかにするために、肝疾患患者の血清中の同分子の動態について解析した。可溶型MICAの血清濃度は健常者では低値であったが、慢性肝炎、肝硬変、肝がんと疾患が進行するに伴い上昇した。肝がんの進展および背景肝の病態の進行は可溶型MICAの臨床的かつ免疫学的意義を明らかにするために、肝疾患患者の血清中の同分子の動態について解析した。可溶型MICAの血清濃度は健常者では低値であったが、慢性肝炎、肝硬変、肝がんと疾患が進行するに伴い上昇した。肝がんの進展および背景肝の病態の進行は可溶型MICAの上昇に寄与する独立した因子であった。組織学的な検討によりMICAは肝がん組織の腫瘍細胞のみならず、硬変肝の肝細胞にも発現が認められた。また、膜結合型MICAは初代培養ヒト肝細胞では発現が認められなかったが、HepG2をはじめとする肝がん細胞株では発現が認められ、可溶型の培養液中への放出も確認された。肝がん患者に対するTAE治療介入前後で可溶型MICAを検討すると、治療介入により血清可溶型MICA濃度は有意に低下した。また、同時にNK細胞あるいはCD8陽性T細胞のNKG2Dの発現は治療により有意に上昇した。治療前後における可溶型MICAとNKG2Dの変化量の間には負の相関が認められた。MICA cDNAより作成した可溶型MICAの添加により、健常者末梢血中のNK細胞のNKG2D発現は低下し、またK562細胞傷害活性を指標にしたNK活性は有意に低下した。可溶型MICAは肝疾患の進行に伴い上昇し、腫瘍細胞に対する免疫認識を低下させることが示唆された。肝がんに対する治療介入はこのような免疫病態を改善する上で有用であると考えられる。
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