研究課題/領域番号 |
18390219
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
佐々木 裕 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (70235282)
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研究分担者 |
荒木 令江 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (80253722)
永濱 裕康 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (60381000)
藤元 治朗 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90199373)
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キーワード | 肝癌 / アポトーシス抵抗性 / 疾患プロテオミクス / pathway解析 / 遺伝子発現解析 |
研究概要 |
種々の癌治療により細胞内に導かれる酸化ストレスは細胞死〔アポトーシス〕を誘導するが、癌細胞は旨元来、アポトーシス抵抗性を特性として備えている。従って、その分子機構を解明することは癌治療成績を向上させるために不可欠である。これまでに我々は、アポトーシス刺激下の遺伝子発現や蛋白質発現・機能の変化を、肝癌細胞株を用いて網羅的に解析し、アポトーシス抵抗性の責任分子を明らかにする研究を行ってきた。その中で、アポトーシス抵抗性の強い肝癌細胞株において、アポトーシス刺激後に、アポトーシスや細胞内情報伝達の関連遺伝子、転写因子の発現が亢進することを明らかにした。一方、蛋白質機能の制御に必要な燐酸化の解析では、細胞骨格や分子シャペロン関連蛋白質の燐酸化が有意に変動していた。以上の結果を統合したpathway解析で、アポトーシス刺激により転写や細胞接着に関連する分子群が誘導される事を明らかにした。今年度では、HCV陽性ヒト肝癌組織とcounter-partである非癌部組織からcell lysateを調整し、2次元デイファレンシャル電気泳動にて蛋白質発現ならびに翻訳後修飾の差異を検討した。最終的にはLC-MSショットガン法による質量分析から蛋白質を同定した。その結果、非癌部に比べて癌部で有意に燐酸化が上昇しているスポットに限定した場合、約15個の燐酸化スポットより約35個の蛋白質を同定した。その中の多くが、細胞接着、分子シャペロン、細胞内情報伝達、レチノール酸代謝などの機能を有する蛋白質であった。それぞれの分子について、燐酸化抗体を用いた2次元ウエスタンブロット法に確認した。またこれまでの研究で得られた、アポトーシス抵抗性の候補責任分子群と対比を行ったところ、数種類の蛋白質については一致を認めた。そこでそれらの分子については肝癌細胞株を用いて、siRNA、あるいは恒常的活性体を導入し、loss of functionやgain of functionの手法により、候補責任分子の重要性を検証している。
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