研究課題
我々はリガンド依存性核内受容体Peroxisome Proliferator Activated Recepter-γ(PPARγ)リガンド投与が大腸がんの発生のみならず大腸がん前がん病変であるAberrant Crypt Foci(ACF)の発生を抑制し、PPARγリガンドが大腸がんの化学発癌予防に有効であることを世界に先駆けて報告してきた。今回の研究では(1)大腸がん前がん病変であるACFを指標とした大腸化学発癌予防薬としてPPARγリガンドのピオグリタゾンが有望な候補になるかの検討をヒトにおいて拡大大腸内視鏡を用いて実証した。約20人の患者に対してピオグリタゾンの3ヶ月から半年の投与でほとんどの患者において有意なACFの数の減少を認めた。この結果はPPARγリガンドであるピオグリタゾンの投与が大腸がんの化学予防に有効であることを示しており、これまでの化学予防ではNSAIDsが中心に検討されてきたが新しい化学予防の標的分子であることを示すことができた。(2)ヒトにおいてピオグリタゾンの正常大腸上皮およびACFに対する分子レベルでの作用を解析した。PPARγリガンドは細胞膜の裏打ち蛋白β-cateninと結合してその核内への移行を阻害して増殖抑制をきたすことを示すことができた。実際大腸上皮の回転がリガンド投与で低下し、遺伝子発現的にはβ-cateninの下流の遺伝子c-MYC, cyclin D1などの遺伝子発現が低下していた。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)
Journal of Pharmacological Sciences 106
ページ: 627-638
Int J Cancer 120(3)
ページ: 702-13
Clin Cancer Res 13(21)
ページ: 6257-6531
医学のあゆみ 220(1)
ページ: 81-86