研究課題/領域番号 |
18390231
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
古川 哲史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (80251552)
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研究分担者 |
黒川 洵子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (40396982)
中谷 晴昭 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60113594)
大江 透 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70263556)
柳 圭子 (石原 圭子) 佐賀大学, 医学部, 助教授 (70265990)
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キーワード | 不整脈 / QT延長症候群 / 性差医療 / プロゲステロン / エストロゲン / カリウムチャネル / カルシウムチャネル / 一酸化窒素 |
研究概要 |
不整脈の性差医療を目指した基礎研究として、今までに男性ホルモンであるテストステロンの作用に関しての報告を行っており(Circulation 2005)、本年度は女性ホルモンのプロゲステロンとエストラジオールの作用に関してモルモット単離心室筋細胞からパッチクランプ法で膜電位、膜電流を記録することにより検討を行った。QT延長性不整脈は交感神経緊張が重要な不整脈トリガーとなることから、コントロール状態と交感神経刺激状態で検討を行った。プロゲステロンはコントロール状態ではI_<K5>チャネルを活性化し、交感神経刺激状態ではI_<Ca, L>チャネルを抑制することにより活動電位幅を短縮し、QT延長性不整脈に対して保護的に働くことが明らかとなりた。これは、プロゲステロン受容体→c-Src→P13-kinase→Akt→eNOSの非ゲノム経路を介して産生された一酸化窒素の作用によるものであることが明らかとなった(論文投稿中)。エストラジオールは比較的高濃度(10nM-100nM)では、プロゲステロン同様コントロール状態でI_<K5>チャネルを活性化し、交感神経刺激状態ではI_<Ca, L>チャネルを抑制した。これに加えて、エストラジオールは生理的濃度(1nM-10nM)では、別のK^+チャネルを抑制することが分かりQT延長性不整脈を増悪する方向に働くことが示唆された(論文投稿中)。これらのデータを性差医療に応用することを将来的な目標として、コンピューターシミュレーションモデルの構築を行っており、第一段階としてプロゲステロン作用のみを考慮したモデルを構築した。これまでの臨床データの性周期におけるQT間隔の変動を比較的良く再現できるモデルとなっており、次のステップとしてエストラジオールの作用も加えたモデルの構築を目指す。
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