研究課題
性ホルモンのうち男性ホルモンであるテストステロン作用に関してはすでに検討済みであり(Circulation2005)、本年度は黄体ホルモンのプロゲステロンと女性ホルモンのエストロゲンおよびその代謝産物の検討を昨年に続き行った。プロゲステロンは性ホルモン受容体非ゲノム経路を介して産生された一酸化窒素により、基底状態ではカリウムチャネルが活性化され、交感神経刺激状態では、Aキナーゼによるカルシウムチャネルのリン酸化・活性化に対して拮抗的に作用することにより、プロゲステロンが不整脈に保護的に働くことが明らかとなった(Circulation2007)。一方、エストロゲンはこれらの作用に加えて別種のカリウムチャネルを受容体非依存性に抑制し、これはこのカリウムチャネルの電位依存性をエストロゲンがシフトさせることによることが示唆された(J. Physiol. in revision)。また同作用はエストロゲンの代謝産物の一部でさらに強く観察された(論文準備中)。プログステロン作用は女性における性周期や周産期による不整脈リスクの変動に関することが示唆され、これを不整脈リスク管理に応用するための細胞レベル・細胞シートレベルのコンピューターモデルの構築を行った。エストロゲン・エストロゲン代謝物の作用は、思春期以降・閉経後の薬物誘発性不整脈リスクの予測に役立つことが予想され、最終年度にこれらを含めた包括的不整脈リスク予測モデルの構築を目指す。
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