研究概要 |
性ホルモンによるイオンチャネル制御の検討を行い、前年度までに明らかにしたテストステロン、エストロゲン、プロゲステロン細胞膜局在受容体を介した非ゲノム経路によるl_<Ca,L>チャネル、l_<Ks>チャネル制御に加えて、エストロゲンには受容体非依存的経路として、l_<Kr>チャネルを制御すること(Kurokawa, Furukawa et al. J. Physiol. 2008)、エストロゲンの代謝物エストロンサルフェートにも同様の作用があること(Kakusaka, Furukawa, et al. J. Pharmacol. Sci. 2009 in press)を明らかにした。これらの基礎データを臨床家にアクセスしやすくするため、これらの情報を加味したコンピューターモデルも構築した(Furukawa, et al. Curr. Cardiovasc. Rev. 2009 in press)。 性ホルモンによるl_<Ks>チャネル活性化は、一酸化窒素によるCys残基のニトロシル化によることが明らかとなり、特定のCys残基が修飾部位となる分子機構を明らかにした。これは、レドックス環境とカルモデュリンの関与の2つの因子が重要であった(Asada, Furukawa et al. J. Biol. Chem. 2009 in press)。 l_<Ks>チャネルのCys残基は一酸化窒素による修飾だけでなく、酸化修飾によっても機能調節を受けること、機能変化のベクトルがニトロシル化と酸化では異なることが明らかとなり、l_<Ks>チャネルが細胞のレドックス状態を膜電位に反映する分子変換器としての役割を果たす、という新たな研究テーマの展開も得られた。
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