研究課題/領域番号 |
18390233
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
王 英正 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50372579)
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研究分担者 |
上山 知己 京都大学, 医学研究科, 助手 (80379388)
原田 光一郎 京都大学, 医学研究科, 助手 (30402902)
小形 岳寛 京都大学, 医学研究科, 研究員 (10402877)
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キーワード | 再生医療 / 心筋幹細胞 / 生体吸収材料 / 臨床治験 / 心不全 / 細胞移植 |
研究概要 |
研究計画初年度に当たる平成18年度は、2つの研究目的を達成することを目標とした。 (1)マウス心臓内から純化した心筋幹細胞(CSC)の増幅促進因子を同定することと、(2)臨床実用化に向けたヒト心筋幹細胞を単離精製する技術を確立することである。 (1)マウスCSCを認識する表面抗原の一つであるSca-1を特異的にノックダウン(KD)したマウスを作成し解析した。Sca-1 KDマウスは急性虚血による心筋障害に対して、内在性CSCの絶対数の減少により、梗塞後1週間以内に70%以上の頻度で心不全死の表現型を示し、CSCの自己増殖能の低下も示唆された。そこで、Sca-1 KDマウスの心臓内よりCSCを単離し、その増殖調節因子の網羅的検索を行い、CSCはbFGF依存性にAktの活性化によって自己複製能及び移植後の組織における生着性が制御されていることが判明した。 (2)、幹細胞の特徴である高い増殖能によって生成される幹細胞コロニーを形成させることで、ヒト心筋幹細胞の純化に成功した。このヒトCSCはCD105+/Nkx2.5+の間葉系幹細胞の特徴を示し、移植実験にて心筋及び血管細胞への直接分化とparacrine効果によって虚血心機能を改善させることを確認した。これらの研究成果は、特異的な体組織幹細胞とその増幅因子との併用療法へとさらに発展させる形で応用した。ブタに心筋梗塞作成後1ヶ月の慢性期に、母集団=40のランダム割り振り前臨床治験を行った。(a)bFGF単独徐放群、(b)bFGF+10e7MSC、(c)bFGF+10e7CSC、(d)bFGF+10e8CSCの4群比較治験で、各処置一ヵ月後に、MRI、心エコー、心筋血流測定などによる効果判定を行った。結果として、(a)群は5%の有意な機能改善を認めたが、(b)群のMSCとの併用では更なる改善効果を認めず、CSCは(c)群で(a)群よりさらに5%前後の心機能改善効果があった。(d)群では有効性が認められず、逆に不整脈の発生頻度が有意に増加した。本研究により、CSCの特異性と品質基準が確立され、最小有効細胞数が決定された。今後、ハイブリッド療法の開発へと進めていく予定である。
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