研究概要 |
タバコ煙は多量のオキシダント(reactive oxygen species ; ROS)の産生源である。また酸化ストレス自身がIL-18の産生誘導することが判明した。そこで我々は"タバコ煙→肺の過剰な酸化ストレス→肺へのIL-18の産生誘導→肺へのTh1, Th2サイトカインの誘導→COPD発症"という作業仮説を立てた。肺特異的なIL-18を恒常的に発現するトランスジェニックマウスが肺の炎症細胞を伴う肺気腫を誘導することが判明した。この結果は最近、米国呼吸器学会誌にOnlineで掲載された(AJRCCM 2007)。また、これらの研究結果はCOPD患者の肺病変部ではタバコ煙による持続する過剰な酸化ストレスがIL-18の産生が増加させる。その結果、肺病変部に大量の炎症細胞のリクルートメントを誘導し慢性の強い炎症が持続する。その結果、肺胞機構が破綻されCOPDが発症することが示唆された。 上記の作業仮説に基づき抗酸化剤であるレドックス活性蛋白TRX1が豚膵エラスターゼの気管投与によるCOPDマウスモデルの肺気腫を抑制するか検討した。肺特異的にTRX1を発現するトランスジェニック(TG)マウスを樹立した。TRX1 TGマウス及びリコンビナントTRX1投与はエラスターゼの気管投与による肺気腫を抑制した。この結果は最近、BBRC誌に掲載された(BBRC 2007)。現在さらなる研究を進めている。
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