研究概要 |
タバコ煙は多量のオキシダント(reactive oxygen species;ROS)の産生源である。また酸化ストレス自身がIL-18の産生誘導することが判明した。そこで我々は"タバコ煙→肺の過剰な酸化ストレス→肺へのIL-18の産生誘導→肺へのTh1,Th2サイトカインの誘導→COPD発症"という作業仮説を立てた。そこで申請者らは恒常的発現肺特異的発現IL-18遺伝子改変マウス(TGマウス)をヒトサーファクタントプロモーターSPCを用いて樹立した。同時に,テトラサイクリンで誘導される肺特異的発現IL-18TGマウスを樹立した。前者は肺気腫が出来るにもかかわらず後者のTGマウスは間質性肺炎が誘導された。つまりIL-18の発現のタイミングや発現量で間質性肺炎が誘導されることが判明した。また,恒常的発現肺特異的発現IL-18TGマウスによる炎症細胞を伴った気腫化はIL-13依存性であった。また,このTGマウスは骨関節炎(OA)を発症しており,IL-18は全身病変を誘導した。 COPD患者の肺病変部ではタバコ煙による持続する過剰な酸化ストレスがマクロファージやCD8陽性細胞からのIL-18の産生が増加させる。その結果,肺病変部に大量の炎症細胞のリクルートメントを誘導し慢性の強い炎症が持続する。その結果,肺胞機構が破綻されCOPDが発症することが示唆された。COPD患者では肺機能(%FEVI)の悪化と血清中のIL-18値が相関した。
|