腎臓のクロライドイオン輸送異常症の病態解析と治療法開発

2007 年度 研究成果報告書概要

• 研究課題/領域番号: 18390246
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 腎臓内科学
• 研究機関: 東京医科歯科大学
• 研究代表者: 内田 信一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (50262184)
• 研究期間 (年度): 2006 – 2007
• キーワード: 高血圧 / 膜輸送体 / 遺伝子組み換えマウス / Bartter syndrome / knockin mouse / thiazide

研究概要

1.偽性低アルドステロン症II型(PHAII)は、腎臓遠位尿細管におけるクロライド再吸収増加がその原因としていわれていた。本研究ではその病態解明をヒトPHAII患者と同じ変異を持つ遺伝子改変マウス(ノックインマウス)を作成し検討した。その結果、細胞間のクロライド輸送は変異ノックインマウスの集合尿細管を単離してかん流し検討したが、野生型マウスに比して著明な増加は見られなかった。変異WNK4はSTE20-like kinaseであるOSR1/SPAKキナーゼをリン酸化し、OSR1/SPAKキナーゼはさらにサイアザイド感受性Na-Cl共輸送体(NCC)をリン酸化し、リン酸化されたNCCは細胞膜上に存在して盛んにNaClを再吸収し、塩分依存性高血圧症が形成されると考えられた。また、NCC以外の輸送体、ROMKカリウムチャネルやENaC上皮型ナトリウムチャネルは変異WNK4によって一次的に制御は受けず、WNK4の直接のターゲット分子ではないことが示された。
2.ヘンレの太い上行脚のに存在し、この部位でのNaCl再吸収にとって重要なCLC-K2クロライドチャネルヒとそのベータサブユニットbarttinについて、そのお互いの結合部位を免疫沈降にて検討した。その結果、CLC-K2クロライドチャネルの外側壁を形成する膜貫通部位とbarttinの膜貫通部位が親和性を有していることが判明した。これ情報にもとずき両者の結合を阻害する薬剤の探索をすすめれば、強力な利尿剤となることが予想された。

研究成果

• [雑誌論文] Barttin binds to the outer lateral surface of the ClC-K2 chloride channel. (2007)
  • 著者名/発表者名: Tajima, et. al.
  • 雑誌名: Biochem Biophys Res Commun. 362 ページ: 858-864
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
  • 査読あり
• [雑誌論文] Molecular pathogenesis of pseudohypoaldosteronism type II: generation and analysis of a Wnk4(D561A/+) knockin mouse model. (2007)
  • 著者名/発表者名: Yang, et. al.
  • 雑誌名: Cell Metab. 5 ページ: 331-344
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
  • 査読あり
• [雑誌論文] Morphologic and functional analysis of sperm and testes in aquaporin 7 knockout mice. (2007)
  • 著者名/発表者名: Sohara, et. al.
  • 雑誌名: Fertil Steril. 87 ページ: 671-676
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
  • 査読あり
• [雑誌論文] Barttin binds to the outer lateral surface of the C1C-K2 chloride channel (2007)
  • 著者名/発表者名: Tajima M, Hayama A, Rai T, Sasaki S, Uchida S.
  • 雑誌名: Biochem Biophys Res Commun 3 ; 362(4) ページ: 858-64
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [雑誌論文] Molecular pathogenesis of pseudohypoaldosteronism type II : generation and analysis of a Wnk4(D561A/+) knockin mouse model (2007)
  • 著者名/発表者名: Yang SS, Morimoto T, Rai T, Chiga M, Sohara E, Ohno M, Uchida K, Lin SH, Moriguchi T, Shibuya H, Kondo Y, Sasaki S, Uchida S.
  • 雑誌名: Cell Metab 5(5) ページ: 331-44
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [雑誌論文] Morphologic and functional analysis of sperm and testes in aquaporin 7 knockout mice (2007)
  • 著者名/発表者名: Sohara E, Ueda O, Tachibe T, Hani T, Jishage K, Rai T, Sasaki S, Uchida S.
  • 雑誌名: Fertil Steril 87(3) ページ: 671-6
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [雑誌論文] Postnatal expression of KLF12 in the inner medullary collecting ducts of kidney and its trans-activation of UT-A1 urea transporter promoter. (2006)
  • 著者名/発表者名: Suda, et. al.
  • 雑誌名: Biochem Biophys Res Commun. 344 ページ: 246-252
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
  • 査読あり
• [雑誌論文] Postonatal expression of KLF12 in the inner medullary colleting ducts of kidney and its trans-activation of UT-Al urea transporter promoter (2006)
  • 著者名/発表者名: Suda S, Rai T, Sohara E, Sasaki S, Uchida S.
  • 雑誌名: Biochem Biophys Res Commun 344 ページ: 246-252
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [学会発表] シンポジウム 遺伝性高血圧尿細管機能異常症に学ぶ腎臓の電解質輸送の最新の知見. (2007)
  • 著者名/発表者名: 内田 信一
  • 学会等名: 第37回日本腎臓学会東部学術大会
  • 発表場所: 大宮
  • 年月日: 20071000
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [学会発表] シンポジウム遺伝性高血圧尿細管機能異常症に学ぶ腎臓の電解質輸送の最新の知見 (2007)
  • 著者名/発表者名: 内田 信一
  • 学会等名: 第37回日本腎臓学会東部学術大会
  • 発表場所: 大宮
  • 年月日: 20071000
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [学会発表] シンポジウム 遺伝子改変マウスを用いた水・電解質異常症の分子病態の解祈. (2007)
  • 著者名/発表者名: 内田 信一
  • 学会等名: 第84回日本生理学会大会
  • 発表場所: 大阪国際交流センター
  • 年月日: 20070300
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [学会発表] Generation and analysis of Wnk4D561A/+ knock-in mice (2007)
  • 著者名/発表者名: Yang S, Morimoto T, Rai T, Chiga M, Sohara E, Ohno M, Uchida K, Lin S, Moriguchi T, Shibuya H, Kondo Y, Sasaki S, Uchida S.
  • 学会等名: ISN - Nature Genetics Forefronts Symposium on Nephrogenetics : from Development to Physiology
  • 発表場所: Danvers, USA
  • 年月日: 20070300
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [図書] 今日の治療指針2007、輸液療法 (2007)
  • 著者名/発表者名: 内田 信一
  • 総ページ数: 418-419
  • 出版者: 医学書院
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [備考] 「研究成果報告書概要(和文)」より
  • URL: http://www.tmd.ac.jp/grad/kid/kid-J.htm