研究課題/領域番号 |
18390247
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松尾 清一 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70190410)
|
研究分担者 |
湯澤 由紀夫 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00191479)
丸山 彰一 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (10362253)
|
キーワード | 成長因子 / バイオマーカー / 尿細管障害 / 虚血 / タンパク尿 / 急性腎障害 |
研究概要 |
近年、心血管術後やICU管理下の急性腎機能障害を呈する患者群において、わずかなCr上昇が患者死亡に大きく寄与することが認識され、ARF(acute renal failure)からAKI(acute kidney injury)へのパラダイムシフトがおきている。AKIの定量的評価指標であるRIFLE criteriaが示され、ベースラインから25%のCr増加でもRisk、50%でInjuryとしてAKIに分類される。しかし、Crの上昇に1,2日を要することから、AKIのより早期のバイオマーカーの確立が急務であり、NGAL、IL-18などの有用性が報告されている。 我々は、尿中ミッドカイン濃度がAKIのよいバイオマーカーとなるか確認するため、以下の疾患群の患者血清・尿中のミッドカイン濃度を測定した。 1)腎生検症例383名2)腹部大動脈瘤血管置換術・心臓弁膜症での弁置換術症例3)腎移植症例 4)腎腫瘍による腎部分切除症例 現段階で1)、2)の症例に関してデータが揃いつつあり、3)・4)に関しては解析可能な症例数に向けてデータを蓄積中である。 各種腎疾患383例の検討から、腎炎・ネフローゼ症例では尿中ミッドカインハ微増に留まるものの、ATN症例では有意に尿中midkineが著増することを見出した。 さらに、腹部大動脈瘤置換術施行28症例を対象とした前向きの検討を行ったところ、AKIを呈した例では、術中より尿中midkineの有意な上昇を認め、翌日にはほぼもとのレベルに復していることが確認された。さらに既存のマーカーであるL-FABPとの比較ではより早期にミッドカインの上昇がみられた。 以上より、尿中ミッドカインは腎虚血に由来するAKIの早期バイオマーカーとして有望であり、現在、体外循環をもちいる心臓弁膜症手術症例での検討も進めている。検査試薬としての特急申請準備中であり、今回は成果を非公表とした。
|