研究課題/領域番号 |
18390247
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松尾 清一 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70190410)
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研究分担者 |
湯澤 由紀夫 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00191479)
丸山 彰一 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (10362253)
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キーワード | 成長因子 / バイオマーカー / 尿細管障害 / 虚血 / タンパク尿 / 急性腎障害 / ミッドカイン |
研究概要 |
1.ミッドカイン欠損マウスを用いた腎虚血再灌流障害モデルでの検討より、虚血障害によりミッドカインは、近位尿細管上皮細胞においてmRNAレベル及び蛋白レベルでも発現が増加し、直接またはMCP-1発現誘導を介して、マクロファージ浸潤を誘導し、腎障害進展に深く関与することが確認された。 2.ヒト培養尿細管上皮細胞を用いた検討では、MKは主に低酸素刺激により培養上清中にsheddingされるが、細胞分画ではMKの発現に変化を認めなかった。BSA刺激では、細胞分画・上清ともにMKの増加は認めなかった。 3.各種腎疾患383例の検討から、腎炎・ネフローゼ症例では尿中MK濃度と血中MK濃度との間に全く相関がないことが確認された。 以上の結果から、尿中ミッドカインは腎局所で特に虚血障害により発現が誘導され、尿細管腔に分泌されたものを反映していると考えられた。また、蛋白尿刺激ではMKは発現誘導されなかった。 4.臨床研究 各種腎疾患383例の検討から、腎炎・ネフローゼ症例では尿中MKは微増に留まるものの、ATN症例では著増することを見出した。さらに、腹部大動脈瘤置換術・心臓弁置換術施行43症例を対象とした前向きの検討を行ったところ、AKIを呈した例では、術中よりリアルタイムに尿中MKの有意な上昇を認め、翌日にはほぼもとのレベルに復していることが確認された。尿中MK濃度:70.0pg/ml.をカットオフ値としたRock曲線を描くと、AKIの診断の感度97%、特異度91.1%と非常に良好な結果が得られた。また、早期腎癌の部分切除術においては、切除後の病側腎(30分程度の腎動脈クランプを受ける)からの初期尿で、著しくMKは上昇していた。
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