本研究の特色は食塩感受性高血圧症の原因遺伝子候補であり、また新規作用機序によるENaC活性化因子であるプロスタシンを中心としたプロテアーゼカスケードを網羅的に解析し、高血圧治療応用への分子基盤を解明することにある。プロスタシンのcDNAに変異を挿入し、セリンプロテアーゼとしての活性は阻害するが、標的分子とのaffinityは阻害しないような変異体を作製し、腎臓の組織抽出物で作製したrecoibinant pro-プロスタシン混ぜたポリアクリルアミドゲルを使用してnative PAGEを行った。電気泳動後、ゲルをプロスタシンの基質であるPro-Phe-Arg-MCAまたはGln-AIa-Arg-MCAを含む緩衝液でincubateし、UVを照射して合成ペプチド基質と反応するバンドを同定し、バンドを同定した。ゲルからバンドを切り出して、タンパク質のN末端アミノ酸解析や質量分析にかけてタンパク質を同定している。これにより同定されたタンパク質がプロスタシンのプロセシングエンザイムが3種見つかっており現在精製の精度をあげて解析中である。 プロスタシンのプロセシングエンザイムについて検討された研究はこれまでに報告がなく、プロスタシンの標的分子も私たちが同定したENaC以外には報告されていない。これまでのプロスタシンの高血圧・Na代謝に毒ける基礎的研究の半数以上は私たちの研究グループによるものであり、国内外の関連する研究をリードする存在である。本研究はプロスタシンを中心としたプロテアーゼカスケードを網羅的に解析し、高血圧治療応用への分子基盤を解明するもので、国際的に見ても先駆的である。
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