日本人多発性硬化症(MS)における、IL-17産生性自己反応性T細胞の検討 IL-17を産生しうる自己反応性T細胞(ThIL17)は、自己免疫疾患の発症に重要な役割を持つことが報告されている。我々はこれまでに、視神経脊髄型MS(OSMS)患者髄液では、IL-17やIL-8が通常型MS(CMS)に比べ有意に高いことを報告している。さらに新規にOSMS患者19例の髄液を解析した結果、OSMS群では他の神経疾患に比べIL-6、IL-8、IL-10、IL-17、IFN-γ、TNF-α、eotaxin、IP-10、PDGFbbが有意に高値であった。OSMS19例の中で抗アクアポリン4(AQP4)抗体陽性群5例と陰性群14例を比較した場合、陽性群ではIL-8、MIP-1α、MIP-1β、IP-10の上昇傾向が顕著であり、この結果はOSMSではTh1サイトカイン、並びにIL-17を中心とした炎症性サイトカインが特に高く、OSMSの高度の組織破壊を伴う病理変化に合致すると考えられた。今年度はさらに、AQP4リコンビナント蛋白の作製を手がけ、すでに作製済みであるMOGやMBPリコンビナント蛋白に対して、末梢血より分離した単核球を反応させ、抗原特異的に産生されるIFN一γ、IL-4、IL-17などのサイトカインを細胞表面で捕捉し、フローサイトメトリーにて測定・ソーティングを行い、その解析を開始している。その対象として、抗AQP4抗体陽性MS患者や抗AQP4抗体陰性のOSMS患者、CMS患者、健常者で解析を行い、各病型における自己反応性T細胞の抗原特異的反応の差異を明らかとする。
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