研究課題/領域番号 |
18390265
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
林 由起子 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第一部, 室長 (50238135)
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研究分担者 |
西野 一三 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第一部, 部長 (00332388)
野口 悟 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第一部, 室長 (00370982)
埜中 征哉 国立精神・神経センター, 神経研究所, 名誉所員 (80040210)
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キーワード | 遺伝子 / 細胞・組織 / 脳神経疾患 / マクロアレイ / 臨床 |
研究概要 |
エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー(EDMD)は筋ジストロフィー、関節拘縮、心伝導障害を伴う心筋症を3主徴とする遺伝性筋疾患で、若年者で高率に突然死をきたす社会医学的に重要な疾患である。エメリン遺伝子(EMD)の変異によるX染色体劣性型(X-EDMD)、ラミンA/C遺伝子(LMNA)の変異による常染色体優性型(AD-EDMD)あるいは劣性型(AR-EDMD)がある。 1)今年度我々は、昨年度施行した遺伝子変異解析で確定診断した23例の核膜関連筋疾患患者の生検筋について、核の形態変化を中心とした病理学的解析を行い、筋核数の増加、大小不同、鎖状核の存在がEDMDの筋病理学的特徴であることを明らかにした。また患者培養線維芽細胞において関連タンパク質の凝集が認められ、局在の不安定性を明らかにした。 2)エメリン欠損マウスの実験的筋再生課程における遺伝子発現変化の検討の結果、モデルマウス筋では処置後3-4日におけるMyoDの発現の遅延に伴う初期変化と処置後6-8週における後期遅延が認められた。後期再生遅延現象に関しては現在、詳細に検討中である。 3)エメリン欠損マウス心筋を用いた網羅的遺伝子発現解析を行い、MAPKのシグナルカスケードが亢進しており、心筋症発症との関連を見いだした。これはラミン変異導入マウスと同様の変化であり、エメリノパチーとラミノパチーの病態の類似性を証明したものである。 4)EMD、LMNAの変異スクリーニングの結果、臨床的にEDMDと鑑別しがたいにもかかわらず遺伝子変異の見いだされない症例を数多く見いだした。現在これらの症例に対し、詳細な臨床病理学的解析をおこなうとともに、新規疾患関連遺伝子の同定を目指し核膜関連タンパク質遺伝子の変異スクリーニングを行っている。
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