研究課題/領域番号 |
18390266
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
神崎 展 東北大学, 特定領域研究推進支援センター, 准教授 (10272262)
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研究分担者 |
根建 拓 東北大学, 先進医工学研究機構, 助教 (50375200)
藤田 英明 東北大学, 豊田中央研究所, 研究員 (50318804)
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キーワード | 糖尿病 / インスリン / 糖代謝 / GLUT4 / 小胞輸送 / イメージング / シグナル伝達 / ナノ材料 |
研究概要 |
GLUT4小胞の形成・運搬に関わる因子群を生化学的に同定するとともに、生細胞イメージング技術によりそれらの機能を解析する。そして、「インスリン受容体シグナル」から「GLUT4小胞の制御」へと連結させる分子基盤を明らかにすることを最終目標としている。 【計画】これまでに確立したGLUT4選択的精製手法を用いることにより、GLUT4と直接的な会合能力のあるSortilinをもう一つのツールとして利用して、GLUT4/Sortilin複合体に含まれる他の構成蛋白群の同定と解析を試みた。また、昨年度までに独自に構築したconfocal顕微鏡を用いてGLUT4/sortilin小胞の制御についての解析をおこなうことを目的とした。 【実績1】GLUT4とsortilinはデタージェント処理により小胞を可溶化した状態でも比較的強固な蛋白複合体を維持していることを生化学的に確認した。一方、生細胞のイメージング解析により、sortilinはlysosome-TGN(trans-Golgi-network)-細胞膜をゆっくりとリサイクルしているものの、GLUT4との会合はその巡回ルートの特定の時期(小胞)においてのみ一時的に複合体を形成することを見いだした。【実績2】また、sortilinとGLUT4複合体とともに、低親和性NGF受容体(p75NTR)が細胞膜とendosome上においてさらに会合することを見いだした。重要なことに、sortilin-p75NTRにはそのリガンドとなるproNGFやproBDNFが結合することによって、Rhoファミリー低分子量GTP蛋白の活性化を伴う細胞内シグナル系を活性化し細胞分化に直接関与することを明らかにした。【まとめ】インスリン反応性GLUT4貯蔵小胞の形成過程において、GLUT4と直接会合することによりその選別に関わっているsortilinが、他の機能受容体蛋白とも複合体を形成しながら細胞内シグナルを活性化できることをはじめて明らかにした。「GLUT4小胞」と「受容体シグナル」を連結する重要な機構の一つであると推察される。
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