研究課題
1)これまでにアクチビンAが肝細胞の産生するオートクリン因子であり、肝細胞の増殖を負に調節していること、その作用を抑制すると肝細胞の増殖か加速されることなどを明らかにしてきた。一般に増殖が活発になると分化機能は低下することから、肝再生を促進しすぎると残存肝機能も低下することが予想される。過度の増殖促進が好ましくない結果を招来する可能性もある。そこで今回、90%という大量の肝切除を行った後の肝再生を検討し、フォリスタチンを投与して再生を大幅に促進する場合と、アクチビンを投与して再生にブレーキをかけ、分化能を維持する場合のどちらが有利かをラットを用いて検討した。その結果、アクチビンを投与してブレーキをかけた場合の方が残存肝機能を維持できて予後もいいことが明らかになった。この結果は臨床的にも意義あるものと考えられる。2)血管新生促進因子として知られている線維芽細胞増殖因子(FGF2)の作用におけるアクチビンの意義について検討を行った。その結果、コラーゲンゲル内の3次元培養系において、血管内皮細胞の管腔形成を促進する作用をもつFGF2の作用が内皮細胞の産生するアクチビンを介して発現されていることを明らかにした。アクチビン作用をブロックすることにより、FGF2の作用が抑制され、逆にアクチビンを添加することによりFGF2作用が増幅されることから、血管新生を促進あるいは抑制することが有効である様々な病態の治療に応用可能であると考えられる。
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