研究課題
基盤研究(B)
造血器腫瘍の発症には、造血細胞に生じたゲノム・エビゲノムの異常が本質的な役割を担っている。本研究の目的は、先端的なマイクロアレイによる癌ゲノム解析技術を用いて、造血器腫瘍の発症に関わるゲノム・エビゲノムの異常を探索・同定するとともに、大規模SNPタイピングによる遺伝疫学的手法により、その発症に関わるゲノム・遺伝子の多型の同定を行うことである。本年度の研究では、平成18年度までに、急性白血病および悪性リンパ腫を含む1500例以上の造血器腫瘍検体について、Affymetrix社のSNPアレイを用いてゲノムワイドなコピー数の解析を行った。平成19年度には、上記コピー数解析データに基づいて、血器腫瘍の発症に関わる遺伝子変異の探索を行った。小児急性リンパ性白血病の解析においてほ、B細胞の分化に必須と考えられる転写因子PAX5をコードする遺伝子が染色体転座によって種々の遺伝子と融合遺伝子を形成し、これによって形成されるPAX5融合遺伝子産物が正常PAX5の機能をドミナントネガティブに抑制することによってB前駆細胞白血病の発症に関与していることを明らかにした。一方、急性骨髄性白血病および骨髄異形性症候群においては、通常のゲノムコピー数解析では同定不可能な片親性二倍体(UPD)が30~40%の症例で認められ、これによって従来報告されている癌抑制遺伝子(Runx1やp53)の不活化のみならず、N-ras,FLt3、Jak2などの機能獲得型変異がその標的となってホモ接合となっていることを明らかにした。さらに、11qUPDについてはその標的遺伝子としてcCBLを同定した。その他、リンパ腫や成人T細胞性白血病含む種々の腫瘍について、その発症に関わる可能性のある遺伝子群を同定した。
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