研究課題/領域番号 |
18390282
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
小松 則夫 山梨大学, 医学部附属病院, 教授 (50186798)
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研究分担者 |
桐戸 敬太 山梨大学, 医学部附属病院, 助教授 (90306150)
國玉 眞江 山梨大学, 医学部附属病院, 助手 (60397297)
永嶋 貴博 山梨大学, 医学部附属病院, 助手 (10343443)
三森 徹 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (80377514)
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キーワード | HIF-1 / 多発性骨髄腫 / IGF-1 / survivin / 分子標的治療 / アポトーシス |
研究概要 |
Hypoxia inducible factor-1(HIF-1)は低酸素応答を司る重要な転写因子であるが、多くの固形瘍組織において高頻度にHIF-1の異常な活性化がみられ、その進展や転移に大きく寄与することが明らかになりつつある。一方、これまでに、造血器腫瘍におけるHIF-1の役割についての研究はなされていない。我々は、HIF-1が多発性骨髄腫の病態にどのように関与するかについて解析を進めた。3種類のヒト多発ト生骨髄腫細胞株、KMM-1.RPMI8S26およびU-266を用い、(1)多発性骨髄腫細胞株の増殖因子であるinsulin-like growth factorl(IGF-l)によりHIF-1の活性化が誘導された。(2)IGF-1によるHIF-1の活性化にはPI3K-AKT経路が関与していた。(3)IGF-1はHIF-1の活性化を介して抗アポトーシスタンパクsurvivinの発現を誘導することを見いだした。(4)HIF-1のDNA結合を阻害するEchinomycinにより、survivinの発現低下とそれに伴う多発性骨髄腫細胞のアポトーシスが誘導された。(5)survivinのプロモーター上にHIF-1結合部位があり、IGF-1の刺激によってsurvivinのプロモーターが活性化されることがルシフェラーゼ活性の測定で明らかになった。(6)siENAを用いてHIF-1の発現をノックダウンするとIGF-1によるsurvivinの発現上昇はみられなくなった。以上の実験結果から、IGF-1は多発性骨髄腫に対してHIF-1の活性化を介してsurviviiiの発現を転写レベルで誘導し、抗アポトーシス効果を発揮していることが明らかになった。このことはHIP-1が多発性骨髄腫の分子標的治療のターゲットとなりうる分子であることを示唆している。
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