最近申請者らは造血幹細胞の骨髄環境へのhomingを阻害する因子を排除することを目的として、ヒト造血幹細胞をマウス骨髄内に直接移植することにより、従来の経尾静脈移植と比較して骨髄内直接移植法ではおよそ15倍高い感度で生着が得られることを見い出した。これらの知見を利用してヒト白血病幹細胞を維持する成体モデルを確立した。 臍帯血幹細胞をレンチウィルスベクターで遺伝子標識し、免疫不全マウスに移植し解析した。ヒト造血幹細胞も骨芽細胞をニッチとして、自らは自己複製しつつ二次移植などのストレスに応じて増殖・分化する動態を示すことと推察された。 同意を得た5名の骨髄異形成症候群患者(RAEB)の骨髄単核球細胞5x10^5個を300cGyの全身照射を受けたNOGマウス骨髄内に直接共移植した。12週後にマウス骨髄を解析した。生着したヒト細胞は多くが移植した芽球細胞と同様のCD34陽性細胞であったが、一部分化したCD34陰性細胞であった。これらがRAEB由来細胞であることは染色体分析により確認された。またCD34陽性RAEB由来細胞は骨髄内で内骨膜領域に存在することが確認された。
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