研究概要 |
1.成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATLL)の研究: 最も急激な転帰をたどる急性型とリンパ腫型の症例について,アレイCGH法によるゲノム異常を解析し,臨床病型とゲノム異常との関連について検討した.急性型とリンパ腫型ATLLは,ゲノム異常様式が異なり,それぞれに特徴的なゲノム異常があることを見出し,報告した.HTLV1ウイルスが関与する疾患でありながら,他のゲノム異常の関与の仕方により病型が異なる可能性が示唆された. 2.T/NK納リンパ腫/白血病の研究: 27症例(Aggressive NK cell leukemia,10症例;節外性T/NKリンパ腫(鼻型),17症例)のアレイCGHを施行した.両疾患単位はEBウイルスの関与や臨床経過の転帰などの共通性があるが,一部のゲノム領域を除けば,ゲノム異常様式はまったく異なることが明らかとなっている.比較的狭い領域に異常が絞られている6q25欠失領域に対して,contigアレイCGH法を用いて,さらに領域を狭め,標的遺伝子をほぼ同定しており,現在機能的な解析を行っている. 3.前骨髄球性白血病の研究: 明確な疾患単位が確立している急性前骨球性白血病(FAB分類:M3)を対象にアレイCGH法を施行したところ,約60%の症例に何らかのゲノム異常が認められ,その特徴的なゲノム異常様式について報告した.しかし,リンパ腫で認められるような多くのゲノム異常は認められなかった.転座以外のゲノム異常様式は,メチル化なども視野に入れて検討する必要がある.
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