研究概要 |
1.末梢性T細胞リンパ腫分類不能型(PTCL-U)解析およびATLLとの比較 PTCL-U 51症例のアレイCGH解析より,ゲノム異常が認められる症例は29症例であり,残り22症例にはゲノム異常が認められなかった.病理組織学的特徴に関して検討したところ、ゲノム異常群では、核多型で、CCR4陽性であり、予後不良であった。ゲノム異常の認められない群は、炎症性反応を示す像が認められ、CCR4陰性で予後は異常群よりもよい。ゲノム異常群は成人T細胞性白血病リンパ腫の組織像、病態が似ていることが明らかとなった。アレイCGH解析によりまとめたゲノム異常群のゲノム異常様式はATLLリンパ腫型のゲノム異常様式と似ていることが明らかとなり、共通ゲノム異常領域やそれぞれの病型に特徴的なゲノム異常領域から、責任遺伝子を単離することが今後の重要な課題である。 2.B細胞性リンパ腫のゲノム異常解析と責任遺伝子の機能解析 これまでの解析から,マントル細胞リンパ腫の2q13欠失領域責任遺伝子がBIMであることを明らかにした.BIM遺伝子欠失が,リンパ腫発症にどのような影響を与えるのか,欠失細胞株にBIM遺伝子を導入するために、レトロウイルスベクターを構築し、ウイルス産生を試みた。しかし、ウイルス産生用の細胞株にBIM遺伝子導入したところ,死滅してしまうために、十分なウイルス産生が得られなかったので、発現誘導系を用いたき機能解析を試みている。BIMはアポートーシスを制御する遺伝子であるため、アポトーシス関係遺伝子群を用いては発現解析データを検討したところ,クラスターのうちのひとつが、予後不良群を規定することを見出した。今後、詳細に検討する必要がある。
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