研究課題/領域番号 |
18390294
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
舘田 一博 東邦大学, 医学部, 准教授 (20236558)
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研究分担者 |
石井 良和 東邦大学, 医学部, 助教 (90246695)
木村 聡一郎 東邦大学, 医学部, 助教 (60408870)
宮入 伸一 日本大学, 薬学部, 教授 (50209855)
堀川 学 サントリー生物有機科学研究所, 研究員 (70270569)
福島 淳 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (00181256)
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キーワード | 感染症 / 病原因子 / 治療法 / 細菌間情報伝達 |
研究概要 |
本年度は、これまでの研究をさらに展開し、緑膿菌Quorum-sensing分子の他の細菌への作用に関して重点的に研究を展開した。特に、緑膿菌の産生するC12-Homoserine lactoneの誘導体の中にClostridium difficileに対して強い抗菌活性を有する物質を見出した(Ueda C et al.)。本物質をC.difficileに作用させると、数時間の単位で本菌の膜が障害され、グラム染色性の変化、溶菌現象が生じることが観察された。この現象は、Quorum-sensing分子を介したInter-species communicationを示すものであり興味深い。本研究においては、この点に関して緑膿菌の産生するautoinducerがレジオネラ属細菌の発育も抑制することも報告しており、Quorum-sensing機構の自然界および感染病態における新しい可能性を示すものであり重要と考えられる。今後、本研究を通して得られた知見をさらに発展させ、難治性・慢性感染症におけるQuorum-sensing機構の役割を解明するとともに、抗菌薬では治療できない感染症に対する新しい治療戦略を探索していく予定である。特に、本研究期間に得られた人工呼吸器関連肺炎モデルに対するマクロライド剤の有効性に関する知見は、本剤のQuorum-sensing機構抑制作用と関連した効果であり、将来的な臨床応用の可能性を示唆する成績である。さらに動物実験を用いてその臨床的有効性に関して検討していく必要がある。
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