1.ノロウイルスの最頻出ゲノタイプ(GII/3 と 4)を迅速に検出できるイムノクロマトキットの評価を臨床検体にて行った。RT-PCR法と比較すると、感度74〜79%、精度96〜100%、一致率92〜95%で、他社 IC 製品とほぼ同様であった。現在さらに GI を含めた多くのノロウイルスを検出できる系を開発中である。 2.カキからの新しいロタウイルス濃縮・抽出法を開発し、A群ロタウイルス検出を行った。 3.ノロウイルス胃腸炎患児から得た便と血清中のノロウイルスをRT-PCR法で検出した。便陽性例の中で血清陽性例があり、その中で神経症状の見られたものがあった。 4.2005〜2006年(検体総数603)および2006〜2007年度(総検体数628)の日本におけるウイルス性下痢症の疫学調査を行った。ロタウイルス(19.8%)では、前々年度に頻度の低下した遺伝子型G1が、前年度に上昇傾向を見せ、この年度に再び最頻出株となった。一方G3は減少したが、この2株で88%であった。ノロウイルス(8.5%)の最頻出ゲノタイプはGII/3で、GII/4と合わせて90%であった。GII/3のvariantが最頻出株となった。2004〜2005年にサポウイルスGI/1の集団感染があった。サポウイルスでも組換えウイルスがあった。2006〜2007年はロタウイルス18.7%、ノロウイルス14.4%、アデノウイルス3.8%、サポウイルス2.5%、アストロウイルス2.4%、混合感染1.8%であった。 5.サイトメガロウイルスの分子疫学と重症度の関連悔を検索した。gB、UL144、UL149遺伝子のゲノタイプについて、先天性感染児33名と生後感染児31名を調べたところ、どのゲノタイプの組み合わせでも神経異常を引き起こした。gB3ゲノタイプは先天感染に多かった。
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