研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、ABCA12遺伝子変異を病因とする重症型魚鱗癬に対する、毛包のバルジ由来幹細胞をターゲットとした正常ABCA12遺伝子導入による新しい治療法を開発し、道化師様魚鱗癬患者由来表皮細胞、および、魚鱗癬モデルマウスを対象として、その治療効果を検証し、臨床応用への道を開くことであった。本研究の結果、以下の成果が達成された。1)導入リポーター遺伝子の作成と培養バルジ幹細胞幹に対する遺伝子導入リポーター遺伝子としてのGreen fluorescent protein(GFP)遺伝子およびlacZ遺伝子を哺乳類遺伝子発現ベクターに組み、培養バルジ幹細胞幹に遺伝子導入した。2)遺伝子導入幹細胞株よりの皮膚再生系の確立SCIDマウスの背部を除毛し、直径1CMの円形に皮膚を切除した。そこヘシリコンチャンバーを移植し、チャンバー上部の穴から細胞懸濁液を注入し、移植部位を乾燥させることにより上皮化を促した。移植後約4週間で皮膚・毛髮の形成が認められた。3)再構成皮膚における魚鱗癬表現形の変化の確認遺伝子導入幹細胞からの再生表皮について、経時的に皮膚生検を施行、凍結切片を作成、蛍光顕微鏡等にて観察することにより、リポーター遺伝子ならびに、正常ABCA12遺伝子の導入、発現を確認した。さらに、免疫組織学的、in situ hybridization法、ノザン・ブロッティング、サザン・ブロッティングによって、移植患者表皮における導入正常遺伝子および蛋白の発現をモニターした。遺伝子導入実験後、移植皮膚における臨床症状の改善度を評価した。その結果、導入遺伝子の発現により、皮膚表現形の改善を認めた。4)研究結果の総括と臨床応用への可能性の評価今回の研究によって得られた結果から、最善と考えられる導入遺伝子、遺伝子導入法をまとめた。さらに、導入遺伝子の発現、遺伝子導入の効果、ならびにその持続時間について評価した。
すべて 2007
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