研究概要 |
我々はこれまでに、眼皮膚白皮症(oculocutaneous albinism,OCA)症例の遺伝子診断および病態の解析を通して、メラニン合成およびメラノソームの生合成の制御機構を研究してきた。臨床サンプルからの解析として、症例の蓄積に努め、この1年間に新たに日本全国より20症例を加え、症例ごとに原因遺伝子を検索した。その結果、10症例において原因遺伝子を明らかにした。また、これまでに集積した約150症例のOCA症例において、既知の遺伝子に異常が見つからない症例、32症例については、DCT,RAB38,RAB7,SILV,SLC7A11,MLPHなどのモデルマウスでの原因遺伝子として明らかになっている遺伝子を解析したが、いずれの遺伝子においても病的変異を見出せなかった。また、これまでの方法では明らかにできなかったlarge deletion mutationについては、real time PCR法にてTYR遺伝子の定量を行なう事により、1症例について少なくとも20kb以上のlarge deletionが明らかとなり、OCA1型であることを明らかになった。一方、基礎的解析として、OCA4型遺伝子産物のプロテオーム解析のコンストラクトを作成し、タグつきタンパク質を発現させ、タグに対する抗体を使ってアフィニテイ精製を行い、精製分画を二次元電気泳動にて展開したが、明らかな分子は同定できなかった。HPS1タンパク質を含むBLOC-3複合体を同様な方法で精製し、質量分析にて解析したところ、BLOC-3複合体を形成するためにはHPS1タンパク質とHPS4タンパク質が必要である事を明らかにした。
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