研究課題/領域番号 |
18390313
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐野 栄紀 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (80273621)
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研究分担者 |
板見 智 大阪大学, 医学系研究科, 寄付講座教授 (30136791)
片山 一朗 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80191980)
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キーワード | 乾癬 / Stat3 / gp130 / IL-6 / 関節炎 / Tリンパ球 |
研究概要 |
1)Stat3トランスジェニックマウスの樹立 ・従来使用していたウシケラチン5プロモータに代わり、ヒトケラチン5プロモータ下に発現するトランスジェニックマウスを作成した。トランスジーンは野生型マウスStat3およびマウスStat3Cである。またそれぞれのトランスジーンはFlag付加しポリAシグナルとともに発現ベクターにてクローニングし、FVBマウス卵にインジェクションしトランスジェニックマウスを数ライン確立した。 2)関節炎モデルマウスを用いた研究 ・乾癬の皮疹に非リウマチ性の関節炎が合併した関節症乾癬は、乾癬の一型であり、別名乾癬性関節炎とも呼ばれる。乾癬患者の10%以上に認められるとされる。我々は自然発症関節炎モデルマウスであるgp130F759ノックインマウスを利用し、乾癬皮疹と関節炎との関連につき検討した。当該マウスはIL-6ファミリーサイトカインの共通した膜レセプターであるgp130のアダプター分子ドッキングサイトのノックインマウスを大阪大学大学院医学系研究科平野研究室より提供を受けた。以下本年度の当研究において明らかになった実績を列挙する。(1)当ノックインマウスの皮膚創傷治癒部には、K5.Stat3Cマウスで認められたような乾癬様症状が発症した。すなわち表皮肥厚、顆粒層の消失、錯角化、炎症細胞の浸潤である。(2)創傷治癒と同じくStat3の活性化をもたらす12-0-tetradecanoylphorbol-13-acetate(TPA)を当ノックインマウスの四肢関節部位に外用したところ、アセトン対照群と比較して優位な皮膚の肥厚とともに、関節炎症状の増悪を認めた。組織学的に関節包への炎症細胞浸潤と線維化、関節腔の狭小化である。この関節症状の差異はX線所見でも明らかに認められた。これは臨床的に認められるように、乾癬皮疹に近接した関節病変を実験的に再現したものと考える。
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