研究課題
家族性及び孤発性のてんかんと学習障害・精神発達障害を共存する患者から発見された遺伝子変異を導入した遺伝子改変モデル動物(S284L-TG)を作出した。各種解析では、本遺伝子改変モデル動物は、てんかん症状はヒトてんかんに類似した症状を獲得しており、表現的妥当性(てんかん発作症状が人てんかん患者の発作と同等であるか否か)が検証され、同時に、構造的妥当性(予測される病態が人と同等であるか否か)・予測的妥当性(人患者への治療反応性が同等であるか否か)も検証された。しかし、行動学的解析では、学習・記憶と情報知覚機能への変異は検出できず、学習障害・精神発達障害としての、構造的妥当性は検出できなかった。S284L-TGのニコチン受容体機能変異は4週齢で既に獲得されていたが、てんかん関連性のフェノタイプは認められなかった。6週齢でinterictal dischargeを獲得し、8週齢でictal dischargeを獲得した。また、6週齢では認められなかった、前頭葉(発作焦点領域)の睡眠誘発性グルタミン酸遊離低下がS284L-TGでは認められなかった。以上の結果から、常染色体優性夜間前頭葉てんかんに、中枢性ニコチン性アセチルコリン受容体α4サブユニットの遺伝子変異に伴う、ニコチン性アセチルコリン受容体の機能変異が関与していることを明らかにするとともに、神経伝達機構の発達過程にこのタンパク機能変異が影響を及ぼし、健常システムの機能変異が加わることで、自発性てんかん発作を獲得することが示唆された。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件)
Epilepsy Res 83(In press)
British Journal of Pharmacology 156(In press)
Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry 33(In press)
Brain Dev 31
ページ: 27-33
J Hum Genet 54
ページ: 122-126
J Neurosci 28
ページ: 12465-12476
Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 32
ページ: 1491-1495
Neuroreport 19
ページ: 915-919
Neuropsychobiology 57
ページ: 9-13