研究課題
統合失調症患者12名と健常者27名において、血中d-serine濃度を比較したところ、仮説どおり統合失調症群で有意に低下していることを見出した。一卵性双生児10組および二卵性双生児4組(卵性診断はDNAマーカーを用いた)の健常成人におけるミスマッチ陰性磁場強度の検討から、ミスマッチ陰性磁場強度がある程度遺伝的素因を反映する指標であることが示唆された。健常成人男性26名において、ミスマッチ陰性磁場強度とGRM3遺伝子多型に有意な関連を見出した。また、BDNF多型がミスマッチ陰性磁場強度の左右半球優位性に有意な影響を及ぼすことを明らかにした。これらのことから、ミスマッチ指標がグルタミン酸神経伝達系関連遺伝子の中間表現型として有望であることを示した。初発統合失調症患者11名において、ミスマッチ陰性電位振幅とヘシェル回灰白質体積が有意な相関を示すことを示した。このような異常な相関は、初発感情障害群(N=13)または健常対照群(N=13)では認められなかった。また、初発から1.5年後の時点での計測を行ったところ、初発統合失調症群においてのみ、ミスマッチ陰性電位振幅の変化量と、ヘシェル回灰白質の変化量の間に有意な相関を認めた。この相関は初発感情障害群または健常対照群では認められなかった。これらの結果から、統合失調症の病初期に聴覚皮質における進行性脳異常が存在し、その背景にグルタミン酸神経伝達系の異常が存在することが明らかとなった。
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