研究課題
稀な遺伝病では、家系ごとに変異が異なっているが、これは発症により変異が次世代に伝わらないためではないかと考えられている。一方、Common diseaseでは変異(多型)が次世代に伝わり、変異を生じた祖先の多型が広がって患者群で共有されると考えられている(common disease commonvariant:CDCV仮説)。そこで、責任多型は共通の祖先から伝わったので周辺多型と連鎖不平衡(LD)が保存されているとされ、LDブロックごとに代表多型のcase-control studyを行うことが主流となっている。我々は、この仮定を疑いLDブロックごとに代表多型を選ばず、遺伝子全長全ての塩基配列を解析した(resequence)。対象遺伝子は、近年もっとも有望とされるDISC1を選んだ。昨年度は家系内に2名以上統合失調症を発症している松沢病院の患者50例を用い、3つのアミノ酸置換を伴う多型を含む25もの新規多型を同定した。今年度は、松沢の検体に岡山大学と大阪大学の検体を加え479例の統合失調症と304例の健常者を用いた。驚いたことに、さらに7つのミスセンス変異を新規に同定し、そのうち3つは患者でしか検出されなかった。LDブロック内に連鎖不平衡を外れた挙動をする稀な多型が多数存在し、疾患と関連するものや、疾患でしか検出されない「強い効果」の多型が存在する可能性が示唆された。今回の結果は、CDCV仮説に反しcommon diseasemultiple rare variants(CDMRV)仮説を支持した。
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Psychiat Genet 17
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