研究課題
同家移植可能なマウス線維肉腫細胞株QRsPに10Gyの照射を行ない、生残株6株をクローニングした。細胞増殖性の高い2株(それぞれ10-1、10-5と命名)に対して10Gyの照射を行なったところ感受性に優位差を認めた。算出されたsurviving fractionは親株;4.87×10^<-4>、10-1;5.52×10^<-4>、10-5;7.04×10^<-4>、であった。しかしこれらの細胞に造腫瘍性の差はなく、C57B6マウス背部に親株と同様の腫瘍塊を形成した。それぞれの株の接種によりin vivoで形成された細胞を組織培養して得られた細胞株(QRsP-V、10-1V、10-5V)でも同様の結果が得られたことから、観察された感受性の差は照射による一過性の変化ではないと考えられた。これらの細胞株にp53を発現するアデノウイルスを感染させたところ(m.o.i=20pfu/cell)感染により誘導されるアポトーシスは、3つの細胞株中10-5においてのみ顕著であり、照射に対する感受性の差はp53の下流で起こる細胞死に対する抵抗性の差であることが示唆された。いかなる遺伝子発現変化がこのような差に関連するかを明らかにするためDNAアレイによる解析を行なった。親株を対象とし10-1および10-5における遺伝子変化を網羅的に解析したところ、基本的な遺伝子発現プロフィールは10-1と10-5では類似していた。そこで、親株と10-1の間では変化が少なく(1.5倍以下)、かつ親株と10-5の間で大きな発現量の差が認められた遺伝子(0.5倍以下あるいは2倍以上)を抽出したところ100前後の候補遺伝子が検出された。これらの遺伝子の中には数種類の転写因子も含まれており、現在この道伝子のクローニングまで終了した。
すべて 2006
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