研究概要 |
具体的内容:血管新生治療遺伝子として肝細胞増殖因子(HGF)遺伝子を、核医学レポーター遺伝子としてNa/I共輸送蛋白(NIS)遺伝子を用いて、遺伝子組み換え複製欠損型アデノウイルスAd-CMV-HGF-CMV-NISと、controlとしてAd-CMV-NISを作製した。in vitroでは、遺伝子組み換えアデノウイルスを様々な濃度(0,1,5,10,20,50,100MOI)でラット胎性心筋芽細細胞H9c2株に導入した。^<99m>TcO 4摂取率はウイルス濃度の増加に従って著明に増加し、MOI=0の時と比べて最大582倍に増加した。western blottingにおいても同様に、HGFとNISのタンパク発現はMOIの上昇とともに増加し、この二つタンパク発現量は高い正の相関を示した(r=0.96)。さらにin vivoイメージングでは、ラット心筋梗塞モデルを作製し、Ad-CMV-HGF-CMV-NISまたはAd-CMV-NISを梗塞周辺部に注入し、1〜3日後に小動物用PET/SPECT/CT装置を用いて、^<99m>TcO4によりNISレポーター遺伝子発現、^<99m>Tc-tetrofosminにより心筋血流、^<18>F-FDGにより心筋糖代謝を、非侵襲的にイメージングすることができた。意義・重要性:近年、虚血性心疾患に対して血管新生遺伝子を用いた遺伝子治療の研究が活発に行われているが、これまでは治療遺伝子の発現部位や量を生体内で確認することができず、治療効果を正確に評価することが困難であった。本研究では、治療遺伝子HGFと核医学レポーター遺伝子NISを同時に心筋梗塞モデルラットの心筋細胞に導入して共発現させることによって、HGF治療遺伝子の発現のin vivoイメージングに成功し、遺伝子治療の治療効果をより正確に評価することが可能となった。
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